短期正職員制度
現在の看護師不足の背景には、多くの病院が「夜勤も残業もするのが当然」という条件で看護師の正規職員を雇用していることがあります。
というのも、看護師の9割以上が女性であるため、出産や育児のために交代制のフルタイムでは勤務ができなくなることが多く、その際には、正規職員に比べて待遇が悪く不安定な立場の非常勤職員としての雇用に甘んじるか、病院を辞めるかという選択をしなければならないからです。
実際に、看護師の免許を持ちながら仕事に就いていない潜在看護師は国内に55万人もいます。
しかし、そのうち77.6%の人が仕事に復帰したいと考えており、72%が復帰前の研修を希望しているという調査結果も出ているのです。
潜在看護師の1割に当たる5万5千人が医療現場に復帰すれば看護師不足は解消することになるため、いかに潜在看護師を減らし復帰させるかが、看護師不足解消のカギを握っていると言っても過言ではないでしょう。
復帰を希望しながらも現場に復帰せず潜在看護師として過ごしている理由としては、「子育て」を挙げている人が最も多く、続いて「家事と両立できない」「自分の適性や能力に不安がある」「責任の重さと医療事故に対して不安がある」「夜勤負担が大きい」という理由を挙げている人が目立ちます。
つまり、潜在看護師を復活させ、看護師不足を解消するためには、従来の硬直化した雇用スタイルではなく、もっと現状に即した新しい雇用スタイルを取り入れることが必要だということになります。
そのような中で昨今注目されているのが「短時間正職員制度」という雇用スタイルです。
「短時間正職員制度」は、従来の正規雇用のフルタイム職員よりも労働時間が短く、労働時間の面ではパート勤務的な形での雇用になりますが、社会保険の適用や、昇進昇格、出産・育児・介護休業の適用、福利厚生などの面では正規雇用の職員と同等という待遇で雇用されるものです。
ですから、給与に関しては勤務時間の関係で安くなるものの、出産や育児、介護などのために仕事を辞める必要がなく、それらが一段落した後にはフルタイム勤務に戻ることも容易になるため、離職率を減らすのにも役に立つのです。
現在、この制度を導入している病院はまだ全体の2割ほどに過ぎませんが、この制度の導入している病院では、常勤看護師、新卒看護師共に導入していない病院と比べ離職率が低くなっています。
ですから、この制度の普及が潜在看護師を減らし、現場の看護師の離職に歯止めをかけるものとして期待されているのです。
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